“好き”を詰め込んだ静かな暮らし。福井の家で見つけた心地よさ

暮らし / 家のこと

以前暮らしていたシェアハウスには、大きな木がありました。リビングにはその木を囲むように大きな窓があり、朝は木漏れ日がやさしく差し込んできます。私はその光のなかで、ゆっくりとコーヒーを飲む時間がとても好きでした。

「自分の家を持つなら、あの木漏れ日のある暮らしを再現したい」——そう思っていました。でも実際には、敷地の広さや日当たりの関係で、リビングダイニングは2階に。
残念ながら木漏れ日はありません。

それでも、1階には庭とウッドデッキをつくりました。
朝は庭の緑を眺めながら過ごす時間があり、季節によって変わる空気の匂いや光の角度が、思っていた以上に心を満たしてくれています。

そしてもう一つ、どうしても再現したかったのがキッチン
シェアハウスのキッチンは、シンクやコンロ、作業カウンターがダーッと横に長くて、みんなが並んで使える、ひらけた空間でした。そんなキッチンが好きで、自分の家にも“あの感じ”を取り入れたくて、造作キッチンに。

天板の高さや幅、収納の位置などは、設計の方が私の話をもとに考えてくれました。私は「こんなキッチンが好き」と伝えただけですが、気づけばとても心地よい空間に仕上がっていて、今ではそこに立つだけでちょっと嬉しくなる場所です。

料理はそんなにしないけれど、好きな空間がある。
それだけで思った以上に気持ちが安らぐんだなと感じています。

今も変わらないのは、朝起きてコーヒーをドリップしているときの香りに癒されていること。
最近は、いろんなコーヒー豆にチャレンジして、味の違いを試すのがちょっとした楽しみになっています。

シェアハウスにいた頃、生豆から焙煎して豆を挽いて自分で淹れてみたこともありました。
うまくできなくて結局あきらめたけれど、焙煎の失敗すら、今ではいい思い出。

みんなで「焦げた?」「でも香りはいいかもね」なんて言い合いながら、わいわい時間を過ごせたあの空気が懐かしく、たまにふと思い出します。

リビングの棚には、当時のシェアメイトたちと撮った写真を飾っています。
あの頃の、まぶしいくらいに楽しかった記憶が、今の暮らしにもそっと寄り添ってくれているようです。

そんなふうにして、懐かしい記憶が今の暮らしにつながっているのを感じています。

自分にとって心地よい空間があるだけで、日常ってすこし柔らかくなる気がします。
あなたは、どんな“好き”を暮らしの中に取り入れていますか?

この静かな暮らしにたどりつくまでには、ちょっとした旅のような時間がありました。
次回は、その道のりを少しだけ振り返ってみようと思います。

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